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今、そして将来の繊維需要を決定する要因は?

それは消費者とともにはじまる

テキスタイルサプライチェーンを通じた繊維の選択は、最終的には、消費者レベルでの製品選択に左右されます。ブランドや小売業者が小売段階でアパレル・インテリア雑貨を宣伝・陳列できても、消費者がお金を払ってそれらの商品を選択したいと思わなければそれまでです。商品に対する有効需要(またはその欠落)はサプライチェーンを遡り、テキスタイルメーカー、ひいてはコットンに代表される天然繊維やポリエステルに代表される化学繊維といった繊維を供給するサプライヤーにまで影響を及ぼします。

織物繊維の需要に影響する変動要素は、長期的な経済・技術・人口の動向や消費者の嗜好の変化などに分類することができます。

繊維製品を含むあらゆる分野のサービス・製品において、人口や一人当たり所得の増加は需要を長期的に牽引する原動力です。世界的な人口増加は鈍化していますが、絶対数は依然として伸び続けており、今後10年間に地球全体で約7億人の純増が見込まれています。これに一人当たりGDPが平均年間成長率2.4%と予測されていることを考え合わせると、おのずと繊維需要は今後10年で今よりも年間約2,800万トンの増加となります(出典: PCI Wood Mackenzie, Fiber World Supply and Demand Report(世界の繊維需給レポート))。

ファッションの風向き

コットンと代替繊維がどの程度増加すると予想されるかは、繊維に関する消費者の嗜好に大きく左右されます。それはデザイン、機能性、快適性、手入れ、認知されているサステナビリティ、相対的価格といった変動要素に基づいて生じています。こうした需要の急増と回復といった変動が、コットンと化学繊維の間で移り変わるファッションの風向きとなって現れているのです。

コットンは過去数十年にわたり化学繊維(主にポリエステルステープルおよびフィラメント)にマーケットシェアを奪われてきたものの、世界的に根強い人気を保っています。国際綿花評議会(CCI)とコットン・インコーポレイテッド社が20年以上にわたり定期的に実施してきた「グローバルライフスタイルモニター」調査では、消費者がコットンを他の繊維素材の製品との比較で「より快適」、「最も柔らかい」ものとして認識し、根強くコットンを支持していることが示されています。さらに世界の消費者は、化学繊維の衣類との比較で、コットンについて「最も安心でき」、「最も信頼できる」ほか、「より長持ちするもの」であるとの認識を示しています。消費者のこうした嗜好性を見ると、デザインや機能性、手入れの簡便性などの特性が消費者ニーズに合致しさえすれば、コットンには今後も競争力が充分にあるはずなのです。

サステナビリティ志向ではコットンが優位

「サステナビリティ」、「環境にやさしい」といった要素がますます重要性を増すなか、コットンは長年にわたって世界中の消費者に好まれ、あらゆる繊維素材のなかで常にサステナビリティの最高評価を受けてきました。最新の調査では回答者の90%がコットンを環境に優しいものであると答え、ポリエステルはわずか45%でした。環境モニタリングによって河川でも海でも魚介類や水に混入する合成「マイクロファイバー」の急激な増加が指摘されるなか、近年、さまざまな繊維を使用した衣類の購入後のサステナビリティ性能がますます重視されています。最新の「グローバルライフスタイルモニター」の調査によると、繊維についてよく知っている世界の消費者の84%が、今日マイクロファイバー汚染が繊維製品の最大の環境脅威であると信じています。多くのマイクロファイバー汚染は化学繊維の加工・洗濯が原因となっています。コットンなどの天然素材は水中においてすみやかに分解しますが、ポリエステルは125年以上もかかり、陸環境ではさらに時間を要します。ブランドおよび消費者のマイクロファイバー汚染や衣類の廃棄に対する意識が高まるなか、そうした事実がコットンを強く後押ししているのです。

商品価格が依然として最重要

デザイン、色、機能、手入れの簡便性やサステナビリティはいずれも消費者のアパレル購買決定に影響を与える重要な要素ですが、商品価格が相変わらず最も重要な決定要素の一つです。綿製品は基本的に価格競争力があるものの、必ずしも最も安いとは限りません。高品質な天然素材コットンの世界供給量は、生育期の天候や競合する作物の相対的な経済的収益に左右されます。ポリエステル(大規模工業生産による石油加工副産物)の価格はそれほど変動しない傾向にあります。これは中国がポリエステル繊維の生産能力を、世界の生産量の70%以上を占めるまでに拡大した今日までの過去25年の間、顕著でした。現在の需要レベルでは、中国のポリエステルインフラは40%ほどの過剰生産状態にあると考えられており、価格が生産コストを下回ることが多く、他の繊維、特にコットンやウールなどの天然素材との不当競争の原因となっています。

競争力を保つコットン
人口動態と全体的な経済成長は消費者の需要の根幹となります。しかし、世界市場の他の競合製品と同様、何を買って何を買わないかの最終的な判断は消費者に任されています。ポリエステルの過剰生産が顕著な状態にある限り、価格はコットン製のアパレル・インテリア雑貨製品にとって課題となりますが、快適性や安心感、信頼性といった消費者の購買決定に重要な意味をもつその他の要素において、コットンは今後も十分な競争優位を維持し続けるものと思われます。サステナビリティの分野において、世界的なマイクロファイバー汚染の影響の全容が明らかになるにつれて、最も環境にやさしい繊維であるというコットンの消費者イメージは高まるばかりです。ポリエステルなどの化学繊維について、製造や消費者の手入れの手間、製品の最終処分といった実際のコストを考え合せた場合、高品質の綿製品のわずかに高い小売価格は消費者、商品デザインや調達決定者にとって大変リーズナブルに見えるでしょう。

「グローバルライフスタイルモニター」調査や繊維経済市場、繊維のサステナビリティについて詳しくは、お近くのCOTTON USAの事務所にお尋ねください。
(https://cottonusa.org/staff)